公開日:2020年3月22日

法定相続情報証明制度

法定相続情報証明制度とは

平成29年5月29日から全国の法務局において様々な相続手続きに利用することができる「法定相続情報証明制度」の運用がスタートしました。法定相続情報証明制度とは、相続人が法務局に対して「亡くなられた方(被相続人)の出生から死亡までの戸籍等」と「法定相続情報一覧図」などの書類を提出することにより、登記官がその内容を確認した上で、被相続人の法定相続人が誰であるのかを公的に証明する制度です。

 

法定相続情報一覧図とは

(出典)法務局ホームページ
(出典)法務局ホームページ

法定相続情報一覧図(の写し)とは、上記の法定相続情報証明制度を利用することで法務局から交付される相続発生の事実とその法定相続人の範囲が証明された公的書類です。難しいネーミングですが、簡単にいうと、被相続人とその相続人を系図にまとめたようなイメージです。

 

これまで相続手続きの際には、手続き先に「被相続人の出生から死亡までの戸籍」と「相続人の戸籍」などの相続関係を証明する戸籍一式(戸籍の束)を提出する必要があり、その都度、それら戸籍の束のコピーや相続関係の精査などのために時間がかかってしまい、手続き先が多数の場合は相続人の負担が多大になっていました。

 

しかし、この制度を利用し、交付された一覧図の写しを手続き先に提出することで戸籍謄本一式(戸籍の束)の提出を省略することができ、法定相続人も一目瞭然となりますので、手続時間の短縮や負担軽減につながります。

 

特に複数の金融機関に預貯金口座をお持ちであった場合などはスムーズに手続を行うことでき、また、この一覧図は相続登記の申請手続きなど様々な相続に関する手続きに利用することができます。

 

申出手続きの流れと必要書類

法定相続情報証明制度を利用するには、必要書類を揃えたうえで、法務局に対し、法定相続情報一覧図の保管・交付の申出手続きを行う必要があります。以下は「法定相続人が配偶者と子の場合」の申出手続きの流れと必要書類の一例になりますのでご参考下さい。

 

①必要書類の収集

市区役所・町村役場で以下の証明書を取得します。なお、内容が重複するものや他の者に係る証明書等で兼ねることができるものについては重ねて取得する必要はありません。

▸戸籍の集め方はこちらのコラムで解説しております。

 

  1. 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)・除籍謄本(除籍全部事項証明書)
  2. 被相続人の住民票の除票または戸籍の附票
  3. 相続人全員(配偶者と子全員)の戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)
  4. 相続人全員(配偶者と子全員)の住民票または戸籍の附票(※1)
  5. 申出人(手続きを行う方)の住民票または運転免許証や健康保険証のコピー(※2)

 

(※1)法定相続情報一覧図に相続人の住所を記載しない場合は相続人の住民票は必要ではありませんが、金融機関などの相続手続きでは相続人の住所が記載された一覧図を要求される場合がありますので、最初から相続人の住所も記載した一覧図を作成する方が安心です。

(※2)運転免許証や健康保険証のコピーの場合は原本証明が必要になります。

 

②法定相続情報一覧図の作成

(出典)法務局ホームページ
(出典)法務局ホームページ

A4サイズの丈夫な白い用紙に以下の情報を記載し、法定相続情報一覧図を作成します。

 

  1. 被相続人の氏名、死亡時の住民票上の住所、本籍、生年月日、死亡年月日
  2. 相続人の氏名、住所、生年月日、被相続人からみた続柄
  3. 申出人の氏名
  4. 作成年月日
  5. 作成した申出人の住所、氏名

 

※一覧図の作成に当たってはその他細かいルールが多数ありますのでご注意下さい。

 

③法定相続情報一覧図の保管・交付の申出手続き

法務局所定の申出書に必要事項を記入し、上記①②の書類を添付して、以下のいずれかを管轄する法務局に申出手続きを行います。なお、窓口だけでなく、郵送による申出も可能です。

  • 被相続人の本籍地
  • 被相続人の最後の住所地
  • 申出人の住所地
  • 被相続人名義の不動産の所在地

※山形県の管轄区域一覧はこちら(法務局ホームページに移動します)

 

④法定相続情報一覧図の交付(受け取り)

登記官が申出の内容を確認し、誤りや不足書類がない場合には認証文が付された法定相続情報一覧図の写しが交付されます。申出から交付までにかかる日数は、弊所での取扱事例では多くの場合が即日又は翌開庁日には交付されています。

 

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